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講師&講演概要LECTURERS & PRESENTATIONS 

講演者についてABSTRACTS OF LECTURER & PRESENTATION

望月 拓郎TAKURO MOCHIZUKI
  • 京都大学 数理解析研究所 教授
専門分野キーワード:
  • 微分幾何
  • 代数幾何
  • 代数解析
  • ツイスターD加群
  • 調和束

講演概要

コホモロジー理論の広がり

多様体(空間や図形)の性質を調べるのが幾何学の目標です。高校までの幾何学では「長さ」「面積」「角度」などの量(不変量)に着目しましたが、それ以外にも調べたい性質に適した不変量があります。不変量は「長さ」などの代わりに観測すべき量でもありますが、一方で不変量を通じて多様体の性質を調べるという意味では顕微鏡や望遠鏡のような観測機器ともいえます。そのように見た場合、観測の性能を挙げていくことも大事な目標になります。

重要な不変量の一つに「コホモロジー」があります。もともとは位相的な性質を調べる不変量である「ホモロジー」の双対として見出されましたが、多様体の解析的な性質も反映しています。特に代数多様体の面白い性質をとらえるために、コホモロジー理論はさまざまな変種に拡張・精密化されています。そして、その研究の流れの一つが、D加群への拡張やホッジ構造・ツイスター構造による精密化を経てツイスターD加群というものにたどりつきます。この講演では、このようなコホモロジー理論の広がりの一端について紹介します。

講演者プロフィールLECTURER’S PROFILE

略歴(2022年8月現在)

1994年3月
京都大学理学部 退学
1996年3月
京都大学大学院理学研究科修士課程 修了
1999年3月
京都大学大学院理学研究科博士後期課程 修了
1999年4月
大阪市立大学理学部 助手
2004年4月
京都大学大学院理学研究科 助教授
2008年5月
京都大学数理解析研究所 准教授
2012年4月 – 現在
京都大学数理解析研究所 教授

主な受賞・栄誉等

2006年
日本数学会賞春季賞
2008年
第1回湯川・朝永奨励賞
2010年
日本学士院学術奨励賞
2010年
日本学術振興会賞
2011年
日本学士院賞
2012年
第30回(平成24年度)大阪科学賞
2021年
朝日賞
2022年
ブレイクスルー賞

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