講演テーマTitle of Presentation
「フォトニック結晶レーザによる新奇ビームの発生」
20世紀後半から近年に至る、情報技術やナノテクノロジーの発展は、レーザをはじめとする「光」によって支えられてきたといっても過言ではない。身近な例を挙げると、CDやDVDなどの情報記録媒体は、レーザ光とレンズを使ってデータを記録している。コンピュータの性能を決める半導体素子の微細構造の形成も、フォトリソグラフィーと呼ばれる光技術によって行われている。バイオセンサ、車載用センサといった先進センシング分野においても、レーザ光の利用が進んでいる。バイオセンサにおいては、レーザ光をタンパク質などの微小な生体物質に照射し、蛍光や散乱などから、情報を検出したり、車載用センサにおいては、レーザ光を前方の広範囲に照射し、衝突可能性のある物体による反射から、情報を検出することで、その結果を運転者に知らせたりするといった技術である。このような技術において、より高密度化、高精度化、高感度化、高速化を実現するような新たなレーザ光が必要とされている。私はこのような分野に対して、光源開発の立場から貢献することを目指している。
この講演では、先述の例の中でも、より高密度な光記録や高精度な微細加工、高感度バイオセンシングを可能にする、「より小さな集光点」を得ることを中心に議論する。また、微小な集光点を実現するための、偏光と形状の制御された新たなレーザビーム光源の開発について紹介する。
プロフィールProfile
- 簡単な履歴
-
2002年3月 福岡雙葉高等学校 卒業 2002年4月 京都大学工学部工業化学科 入学 2006年3月 同 卒業 2006年4月 京都大学大学院工学研究科化学工学専攻修士課程 入学 2008年3月 同 修了 2008年4月 京都大学大学院工学研究科電子工学専攻博士後期課程進学
日本学術振興会特別研究員(DC1)2011年3月 同 修了
博士(工学)2011年4月 京都大学大学院工学研究科 特定研究員(産官学連携) 2012年4月 京都大学白眉センター 特定助教(白眉)
京都大学白眉研究者2015年3月 京都工芸繊維大学大学戦略推進機構グローバルエクセレンス 講師 ・現在に至る ・この間 2014年5月 University of Bristol Research Collaborator を兼ねる(2015年2月まで) - 主な受賞・栄誉等
-
2007年7月 第26回電子材料シンポジウムEMS賞 2010年4月 日本学術会議主催 公開シンポジウム 先端フォトニクスの展望, 人気ポスター賞 2011年3月 第3回京都大学優秀女性研究者(たちばな)賞 学生部門 2011年11月 平成23GCOE研究グラント(奨励賞) 京都大学 グローバルCOE 光・電子理工学の教育研究拠点 2012年12月 平成23 電子情報通信学会 エレクトロニクスソサイエティ レーザ・量子エレクトロニクス研究会奨励賞 2015年3月 第5回女性研究者研究業績・人材育成賞(小舘香椎子賞)研究業績部門(若手) - 主な論文・著作等
-
1. K. Kitamura, Ting Ting Xu, and S. Noda “Investigation of electric field enhancement between metal blocks at the focused field generated by a radially polarized beam”, Optics Express, vol. 21, Issue 26, 32217-32224 (2013).
2. K. Kitamura, M. Nishimoto, K. Sakai, and S. Noda, “Needle-like focus generation by radially polarized halo beams emitted by photonic-crystal ring-cavity laser,” Applied Physics Letters, 101, 221103 (2012).
3. K. Kitamura, K. Sakai, N. Takayama, M. Nishimoto, and S. Noda, “Focusing properties of vector vortex beams emitted by photonic-crystal lasers,” Optics Letters, Vol. 37, No. 12, pp2421-2423 (2012).
4. K. Kitamura, K. Sakai and S. Noda, “Finite-difference time-domain (FDTD) analysis on the interaction between a metal block and a radially polarized focused beam,” Optics Express, Vol.19, No. 15, pp13750–13756 (2011).
5. S. Iwahashi, Y. Kurosaka, K. Sakai, K. Kitamura, N. Takayama and S. Noda, “High-order vector beams produced by photonic-crystal lasers,” Optics Express, Vol.19, No. 13, pp11963–11968 (2011).
6. K. Kitamura, K. Sakai and S. Noda, “Sub-wavelength focal spot with long depth of focus generated by radially polarized, narrow-width annular beam,” Optics Express, Vol 18, No. 5, pp4518-4525 (2010).