これまでのKUIP
第4回 京都大学 − 稲盛財団合同京都賞シンポジウム2017.7.1-2
夢とロマンをはぐくむ芸術および科学・技術(終了)

シャンフィ ファン (Shanhui Fan)
材料科学分野

シャンフィ ファン (Shanhui Fan)

スタンフォード大学 教授

専門分野キーワード
ナノフォトニクス

講演テーマTitle of Presentation

「ナノフォトニクスおよびそのトポロジカルサイエンスとの融合:光に対する人工ゲージポテンシャル」

トポロジー(位相幾何学)とは、大きさと形状が独立して連続的に変化する幾何対象物の一般的性質に関する学問分野である。トポロジーの概念は、現在、物質の状態の基本的性質について深い理解を得るために広く活用されている。ここで重要なのは、トポロジーに対する頑健性という考え方である。物理状態のトポロジー的性質に関連する物理量は、系の変動に対して頑健性が高い傾向がある。凝縮系物理学では、トポロジーの概念が発展したことによって多体電子系に関する理解に革命がもたらされた。

本講演では、フォトニクスとトポロジーの新たな融合について紹介する。電子では、重要なトポロジー的効果は主に磁場を利用して生み出される。光子は中性粒子であるため、磁場が光子に影響を与えることは通常生じない。これに対し、我々は、屈折率が変調する光子系においては、変調位相によって人工ゲージポテンシャルと、光に関する時間反転対称性を覆す実効的な磁場がもたらされることを明らかにした。このような研究を進めることにより、情報処理に対する高い再構成性や頑健性を備えた、非常に汎用性の高いオンチップ・フォトニック回路が創出される可能性がある。

講演動画を見る

プロフィールProfile

ホームページ URL
簡単な履歴

スタンフォード大学電気工学科および応用物理学科の教授で、エドワード L. ギンツトン研究所の所長を務めている。1988年から1992年にかけて中国科学技術大学(USTC)で物理の学士課程を修了した後、1997年にマサチューセッツ工科大学(MIT)で理論凝縮系物理学の博士号を取得。MITの物理学部で博士研究員、同大学電子機器研究所で研究科学者を務めた後、2001年にスタンフォード大学の教員となる。

研究テーマは、固体構造、フォトニック構造、固体素子、光素子(特にフォトニック結晶、プラズモニクス、メタマテリアル)についての基礎研究と、こうした構造のエネルギー情報技術用途への応用である。査読付き学術雑誌において400編もの論文を発表し、Google Scholarによれば48,000回以上も引用されている。300本以上の本会談/基調講演/招待講演を行い、60件もの米国特許を保持。研究をもとに、放射冷却技術や高スループットの科学向けクラウドベース・コンピューティングの商業化を目指した新興企業2社も共同設立。

主な受賞・栄誉等
主な論文・著作等

講師&講演概要へ戻る