
数学は我々の宇宙を記述する共通言語として長い歴史のなかで科学の発展に貢献してきました。特に自然界の形や動きを表す数理モデルを提唱し、必要な数学を開発してきました。我々の知識や興味が広がり、新しい科学が生まれるたびに、同時に数学は発展する機会を与えられ進化してきました。
近年、観測・計測技術が高度になるにつれ、我々が普段目にする物質は原子という非常に小さい単位からなり、この原子たちがお互いに相互作用で結びついてネットワークを形成する。更にネットワークのネットワークがより複雑な微視世界を形作り、これらがその物質のもつ性質を決定しているということが明らかになってきました。このようなことから、微視的な世界と我々が日常目にし、手に取る物質の巨視的な性質の間の関係を理解するための数学の必要性が高まりました。離散幾何解析は、このような階層的なネットワークおよび階層間の関係を明らかにする幾何を扱います。本日の講演では、具体的な例を示しながら、離散幾何解析の挑戦についてお話しします。